店に古いマウンテンバイクのビデオがあります。90年代前半アメリカのマウンテンバイクシーンを撮ったそのビデオは、その当時、本物のアメリカのライディングへの憧れと驚きの思いで見ていました。

ビデオに収録されているNOBAのレースやマンモスでのカミカゼダウンヒル等いくつかのシーンの中で、特に印象的だったのが、アメリカで人気のトレイルが集中する「Moab」でのライディング。それは、スリックロックと呼ばれる岩の上をマウンテンバイクで走り、また、アメリカ南西部特有の雄大な自然の中でのオフロードツーリングなど、「こんなところがアメリカにはあるんだ!」と、ただただ驚くばかりでした。当時、マウンテンバイクを始めて間もないぼくにとって、そのビデオは全ての手本になりました。頭の中のどこかで、「いつかはMoabに行って走ってみたい。」と、いつも考えて走っていました。

ところが、それ以後マウンテンバイクの機材の進歩は激しく、サスペンションの高性能化、ロングストロークによるダウンヒルバイクの出現、それに伴うライディングや機材のセッティングに必要な技術の模索・・・、やがて、マウンテンバイクで走る楽しさを求める方向性が次第に変わってきました。走行中に向ける視線は、目前のコースのライン取り。頭の中では「速く走るため」のテクニックを考えることで一杯になってしまったのです。

そんなぼくに突然やってきた「Moabマウンテンバイクツアー」の話。すぐに、店に埋もれていた右の写真のビデオを探しました。デッキに入れて再生ボタンを押すと、昔よく見た懐かしいシーンがブラウン管に映し出されました。それは、マウンテンバイクを夢中で乗っていた頃を思い出させ、まるでタイムスリップしたかのような気分になりました。そして、「あの頃あこがれていたMoabを現実に走ることができる!」と、アメリカとMoabを憧れる思いは次第に再熱することになったのです。